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ミステリの祭典

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月夜の狼
エド・ハンター&アンクル・アム

作家 フレドリック・ブラウン
出版日1965年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 mini
(2015/09/04 09:57登録)
もう一応刊行されてると言っていいと思うのだけれど、論創社からハーマン・ランドン「灰色の魔法」とフレドリック・ブラウン「アンブローズ蒐集家」が配本となる
ハーマン・ランドンはこれで2冊目だけれど、最初に出したのが「怪奇な屋敷」という非シリーズ、いかにも本格派しか読みません的読者しか買わなそうなもので、何で作者のメインシリーズを出さねえんだよと思ってたら、今回のは題名からして怪盗グレイ・ファントムもののようだ、こっちは買うぞ(笑)

さてもう1冊のブラウンのは驚くことにあのエド・ハンター・シリーズなのだ
このシリーズは過去に創元文庫から何冊も出ているのだが、実はたった1作だけ未訳作が存在したのである
それも最終作とかじゃなくてシリーズでも中途半端な順番の作で、何で1作だけ未訳で取り残されていたのかさっぱり分からん、創元では当初は全部出す予定だったみたいだけど
今回論創社から出た「アンブローズ蒐集家」では、あのビアスの名前でもあるアンブローズ名の人物の連続失踪事件を描いたもので、主人公エドに助言を与えるアム伯父の本名もまたアンブローズなのだ、これはシリーズのファンには見逃せない

SFの専門読者だとブラウンはSF作家のイメージだろうが、そもそも作者のデビューはミステリー作品であり、それがエド・ハンター・シリーズ第1作目の「シカゴ・ブルース」なのだ、しかも作者の最終長編もSF作品ではなくて同シリーズなのである
このシリーズ、年代を追ってのエドの成長物語的側面も有るようで、「シカゴ・ブルース」では伯父と関わって父の殺害事件に巻き込まれ、私は未読だが第2作でもまだプロの探偵役ではない
そして探偵社に就職し、新米ではあってもプロの私立探偵として第1歩を記すのがシリーズ第3作目の「月夜の狼」なのだ
感動物語的要素の強かった「シカゴ・ブルース」に比べて、「月夜の狼」では怪奇的雰囲気の中での狼男?登場と死体消失の謎(中盤で真相は判明するが)とか、宇宙人との交信の真偽を巡って、逸脱気味になりながらも探偵社社員としてのプロの仕事に邁進するエドが描かれ、謎解き興味中心の読者にはこちらの方が受けそうだ
まぁ、「シカゴ・ブルース」にはシリーズ第1作目らしいまた別の魅力は有るんだけどね

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