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ミステリの祭典

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レミングスの夏

作家 竹吉優輔
出版日2014年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 名探偵ジャパン
(2018/10/04 11:17登録)
ミステリというよりは、少年少女たちのひと夏の冒険譚(と言うほど健康的なものではありませんが。がっつり犯罪を犯していますから)といった趣の作品です。

主人公たちが秘密の計画を遂行する理由が、最初は伏せられたまま物語が進行していくのですが、これは別に伏せておく必要はなかったのではないかと思います。逆に目的が伏せられているため「ここにミステリ的な大仕掛けがしてあるのか?」と無用の期待を抱いてしまいました。
主人公たちは、「計画遂行には犯罪を犯す必要があるため、人生を捨てる覚悟がある」と再三覚悟を決めたことを確認しておきながら、被害者の理解によって罪の意識が薄れ、最終的に無罪放免に近い形になってしまう展開は肩すかしです。こういうのをご都合主義と言います。

とはいえ、まだ中学生の主人公たちが限られた力だけで大人と戦い、計画を遂行していく様は見ていて(読んでいて)胸打たれるものがあります。なんだかんだあってもハッピーエンドに落ち着くところも、結果的に読んでいて救われた形になってよかったのかなと思います。

No.1 8点 初老人
(2015/08/12 17:47登録)
本書は2013年『襲名犯』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビューした作者が、満を持して発表した受賞第一作である。
簡単に言ってしまえば6年前に起きたある事件の記憶から逃れる事が出来ずにいる少年達が、ある計画を立て、それを実行する、といった話なのだが、計画が軌道に乗り始めた矢先の少年達の衝突、警察がいつ迫ってくるかわからない中でのじりじりとした焦燥感など実に良く描けている。
誰しもリーダーであるナギの動向に注意を向ける所かもしれないが、個人的には視点人物である「僕」ことアキラにも注目して頂きたい。
一つキーワードをあげるとするなら「年齢」だろうか。この年齢が物語の根幹に関わってくる。
4年前の夏、中学二年生だった少年が立てた計画がどのような結末を迎える事になるのか、是非その目で目撃して頂きたい。

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