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ミステリの祭典

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猫入りチョコレート事件
見習い編集者・真島のよろず探偵譚

作家 藤野恵美
出版日2015年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/08/06 19:44登録)
弱小タウン誌のアルバイト編集員・真島は、取材先の”猫カフェ”で密室から従業ネコが消えた事件に遭遇する。そんな貴島の前に現れたのは、チャイナドレス姿の謎めいた美女。書道家の胡蝶と名乗る彼女は、中国の思想家”老子”の言葉を引用し、たちどころに謎を解いていく--------。

”日常の謎”を扱った軽い語り口の連作ミステリ。
「店でいちばんかわいい猫」では、密室状況から消えた猫の謎、「幻の特製蕎麦」では、地元出身の文豪が愛したソバ屋はどっちか?、「ヒーローの研究」では、強奪された一億円の行方、「猫入りチョコレート事件」では、お菓子のオマケに付いている猫のフィギアを巡る騒動など5編を収録していますが、いずれも伏線が分かりやすいため、謎解きという点では全く歯応えがありません。いわゆる”ユルミス”ですね。また、老子の引用が事件の真相を示唆しているという作者の狙いがいまひとつわかりずらく効果を上げていない感じがします。
胡蝶の周りに出没する敵の正体や、街から猫が消えていく謎など、連作を通した伏線が、本書で回収されないまま終わってしまったのは肩透かしというか........。つまりは、続編の「老子収集狂事件」も読んでください、ということなんでしょうけど。

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