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ミステリの祭典

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華を殺す

作家 三沢陽一
出版日2015年07月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 虫暮部
(2018/01/04 10:34登録)
 “連城三紀彦氏に捧ぐ”との献辞で始まる恋情ミステリ集、であるが、その一行が矢鱈とハードルを上げちゃってる気がする。柔らかな語彙を丁寧に並べた美文“っぽい”文章も、のっけからそんなこと言われるとどうにも作り物めいて響く。そうなるともう駄目でせっかくの心の機微や鮮やかな情景もストーリーにまとわり付くダラダラした埋め草に堕ちてしまうのだ。作品そのものは決して悪くない筈なので、余計な先入観無しで読めば“連城三紀彦みたいだね、良い意味で”と思えたかもしれないのに。
 収録の4編の中では「椿の舟」が一番良かった、と言うか文体が読者に対するミスディレクションとして機能して古典的なトリックでも驚けた。
 (但し、私は連城三紀彦の愛読者ではないので、ファンなら判る何かを見落としているかもしれない)

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