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ミステリの祭典

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十一月の男

作家 ブライアン・フリーマントル
出版日1985年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 Tetchy
(2015/07/29 23:52登録)
フリーマントル4作目の本書ではアメリカ次期大統領の有力候補と目されるアメリカ大使が大統領選を優位に運ぶためにソ連に対して行った駆引きに巻き込まれる老スパイとイギリス人大富豪の姿を描いた作品だ。

凄腕の、国に貢献をしたピークを超えた一介のスパイが、その仕事ゆえにそれぞれの国の暗部を抱えていることを危惧した政府によって抹殺されることを余儀なくされ、どうにか自分の運命に抗う姿を描くのはフリーマントル作品には多々ある構成だ。そしてそのどれもが悲劇的な結末を迎え、読者を暗鬱な気持ちにさせる。
それは本書でも例外ではなく、熟練の老練さでロシア外相の指令に従い、行動し、自らのアメリカへの亡命をも成功させようと企むアルトマンの末路は想像以上に悲惨だった。

こう考えると用無しとみなされたスパイの悲劇的な末路を描くフリーマントル流常套手段を打ち破ったのが今なお新作が書かれている窓際スパイ、チャーリー・マフィンシリーズだろう。そして同シリーズは第1作目が本書の後に書かれるのだ。

さて題名『十一月の男』は原題“The November Man”そのままである。登場人物それぞれがそれぞれの11月を待つ人間ドラマにも注目されたい。

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