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ミステリの祭典

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薫子さんには奇なる解を

作家 大槻一翔
出版日2015年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/07/28 18:36登録)
大分の私立大学に通う”僕”こと桐生は、密室状況の付属図書館から消えた本の謎を解くことで、美人司書の薫子さんと知り合う。推理作家を目指す薫子さんにネタを提供するため、”僕”は新たな謎を探し求める--------。

タイトルの女性主人公の名前を見ただけで、大体どういうタイプのミステリか想像が出来ると思いますが、ライトノベルの”日常の謎”をテーマにした連作短編集です。栞子さん、櫻子さん、薫子さん、ヨリ子さん(←だれ?w)...........清楚で純日本風のヒロイン名というのが当世ラノベ界の流行りなのか?
当連作は、謎解きがミステリ小説を書くためのネタ捜しになっている点がポイントで、「真相がつまらなければ、桐生くんの考えた奇なる解を教えて」と薫子さんが言うように、探偵役に求められているのが、真相というより”面白い解答”であるところがユニークです。収録作のなかでは、同じ時刻に2つの離れた場所に現れる男の謎を扱った「Xを求めて」が私的ベストで、多重解決的な謎解き過程が面白いと思えた。
ただ、突如豹変する薫子さんのキャラ設定はいただけない。よほどのマゾ男性でないと、このキャラクターについて行くのは難しいのでは。

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