(2015/07/05 22:15登録)
(ネタバレなしです) 1981年に発表されたサンソン&ステファノプーロスシリーズ第2作の本格派推理小説ですが、このコンビ作家の1人、イヴ・ジャックマール(1943-1980)は本書の出版時には既に世を去っています。何と驚き、本書の舞台はハリウッドです。このフランス作家が果たしてアメリカをどう描くかというだけでも興味津々です。映画に関する薀蓄(うんちく)もたっぷりで、好きな人にはたまらないでしょうが私のように映画をあまり知らない人には実在の映画関係者と物語の登場人物がちょっとごっちゃになってしまいました。ややB級ミステリー風な展開と専門的な知識が必要な謎解きは好き嫌いが分かれそうですが、なるほどこれはアメリカを舞台にする必要性があったなと十分納得できます。そして結末の悲劇的な演出も印象的で、やはりこの作家は私にとって「欠点も数多いがそれでも何かを期待させてくれる作家」の1人です。クリスティーの「鏡は横にひび割れて」(1962年)の謎解きネタバレをしているのはよくないなと思いますけど(シリーズ前作でもクリスティー作品ネタバレやってますが、あれは謎解きプロットと密接に絡むので例外的に仕方がないとは思います)。
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