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ミステリの祭典

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秘画・写楽の謎

作家 石沢英太郎
出版日1987年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/08/24 20:04登録)
長崎・平戸に慰安旅行に出かけた新聞社の社会部員・野村は、旅館で葛飾北斎門下の浮世絵師作という秘画を目にするが、同行の友人・栗原の異常な感銘振りに違和感を抱く。やがて、栗原家の兄嫁が所蔵する浮世絵が引き金になって、関係者の間で連続殺人が発生する-----------。

長編「秘画・写楽の謎」のほかに、中編の「沖田総司を研究する女」が併禄されています。
表題作は、旧家に所蔵する浮世絵を巡って悪辣な蒐集家が暗躍する状況下、連続殺人が起きるという本格推理モノの本筋に、写楽=〇〇説という歴史ミステリの要素を絡めた構成になっています。次々と関係者が殺されていくけれど、文庫で160ページ程の短めの長編のため展開が早く、謎解きをじっくり味わうという風にはならないのが勿体ないような。写楽の正体に関しても、複数の説を挙げているのは興味深いが、肝心の豊国説の傍証が作者の創作だという点でテンションが下がってしまう。
併禄の中編は、沖田総司の真の人物像を調べる女子大生の話で、子母沢寛や司馬遼太郎の新撰組関連の小説の知識が前提となっているので、素養のない身には話についていくのがしんどいが、書かれた時代背景を反映した女子大生の”行動原理”は、なるほどなと思わせるところがありました。

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