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ミステリの祭典

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函館水上警察

作家 高城高
出版日2009年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2015/05/25 22:18登録)
和製ハードボイルドの草分け的存在だった作者が、久々に筆を執った本作は、明治時代の函館港を舞台にした警察小説でした。一応4作収録の連作短編ですが、話としてそれぞれが独立しているわけではなく、特に第1作『密猟船アークテック号』(密漁ではなく密猟。獲るのはオットセイやラッコ)でのもやもやした結末に第4作『スクーネル船上での決闘』で決着をつけていて、全体としてみればマクベインなど警察小説にありがちなモジュラー型とさえ言えそうです。期間的にも明治24年の夏から秋にかけての事件というわけで、連続性が重視されています。
そのシリーズの他にもう1編収録された『坂の上の対話―又は「後北游日乗」補遺』は森鴎外が21歳の時函館を訪れたことがあるという記録を基にしたフィクションですが、コレラで最初に死亡した2人は何者なのかという謎の設定があって、ミステリ度はこの作品が最も高いとも言えそうです。

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