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ミステリの祭典

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プランタンの優雅な退屈

作家 大森葉音
出版日2015年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/05/06 15:02登録)
豊かな資源のおかげで平和で穏やかな毎日がつづく”退屈王国”で、新エネルギー政策の発表と時を同じくして、お城の”絵画の間”で密室殺人事件が発生。好奇心旺盛でミステリ好きの王女プランタンは、衣装戸棚に閉じ込められていたメイドが怪しいと推理を巡らすが--------。

大西洋に浮かぶ架空の島国を舞台にした、ライトでユーモラスなファンタジー系ミステリ。ミステリ評論家・大森滋樹氏の別名義によるミステリ第2作です。
暇を持て余す自尊心の強い王女プランタンと、彼女のわがままと暴走に振り回される警護役の少年オールシー、親交国の王子で6歳児の天才デンちゃんなど、キャラクター小説としてはそれなりに面白い。
ミステリ的には「衣装戸棚の女」密室殺人の謎を中核にはしているものの、途中から謀略スリラーとなったり、説明不足気味のSFガシェットが出てきて、後半はなにかまとまりのないプロットになってしまったように思える。ピーター・アントニイの密室ミステリに倣った設定の密室トリックも、解明のためにプランタンが試行錯誤する部分はそれなりに面白いのだけど、真相はかなり脱力感を伴うものでした。

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