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ミステリの祭典

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ブルー・ドレスの女
探偵イージー(エゼキエル)・ローリンズ

作家 ウォルター・モズリイ
出版日1993年09月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 ROM大臣
(2022/07/25 14:12登録)
物語は仕事を失い、何とか収入の道をと考えていたイージーが、ある日事件に巻き込まれ、抜き差しならない状況に追い詰められ、最後はそれを解決する、というもの。時は一九四八年で、まだ黒人が人間扱いされていなかった時代である。
主人公は謎の女に恋心を抱き、そして束の間の桃源郷を味わった後、想いははかなくついえ去るという一種のラブ・ストーリーである。ミステリの核としての「謎」はこれまでにも登場するパターンであり、どこかで予想がつくのであるが、主人公の一途な思いが陳腐化を危ういところで押し止めている。

No.1 7点
(2015/04/21 22:33登録)
原作は1990年に出版され、シェイマス賞と英国推理作家協会賞両方の新人賞を受賞したという、評判作です。
時代設定は1948年。一人称の語り口は、通常のハードボイルドがいつそれを書いたのかという疑問を無視しているのに対して、当時は~だったというように、過去を振り返っているところが見受けられます。
黒人とユダヤ人夫婦の間に生まれたモズリイですから、人種差別をテーマに据えるのは当然でしょうし、だからこその時代設定と言えそうです。世評の高さも、そのテーマのとり上げ方によるところが大きいでしょう。プロット自体は特に優れているとは思えませんでした。ただし、原題は “Devil in a Blue Dress” ですから、主人公のイージー(エゼキエル・ローリンズ)が捜す女が怪しげなことは明らかですが、彼女の秘密には驚かされました。なお、イージーは本書ラストで私立探偵になり、シリーズ化されることになります。

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