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ミステリの祭典

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幽溟荘の殺人

作家 岡田鯱彦
出版日1955年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2015/04/11 23:39登録)
(ネタバレなしです) 1952年発表の本格派推理小説で1958年には「黒い断崖」というタイトルの改訂版が出版されています。典型的なパズル・ストーリーになっており、「読者への挑戦状」と「手掛かり索引」が挿入されています。どちらも読者に対してフェアプレーな謎解きであることを強調する手法ですが、一つの作品で両方を備えているのは初めて読みました。もっとも改訂版の「黒い断崖」(私は未読です)では「手掛かり索引」が削除されてしまったそうです。この改訂版では探偵役やワトソン役が別人になり、さらには舞台の名前が幽溟荘からミモザ荘に変更されています。ページ数が少なく登場人物も多くなく犯人当てとしては難易度は低め(トリックがなかなか面白いです)、物語性は完全に犠牲にして謎解きのみに集中しており、「薫大将と匂の宮」(1950年)と同じ作者の作品とは思えません。本格派嫌いの読者には全くお勧めできないです。論創社版の「岡田鯱彦探偵小説選Ⅱ」(2014年)に収められているものは仮名づかいを現代風に改めてあって読みやすくなっています。

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