サキ傑作集 |
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作家 | サキ |
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出版日 | 1981年11月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2021/07/23 17:16登録) 裏表紙より~『短篇小説に無類の手腕をふるった点で、サキ(1870-1916)はオー・ヘンリーによく似ているが、読後感はひどくちがう。彼は、涙と笑いが生み出すあの人生の温もりとは徹底して無縁である。残酷と恐怖、怪奇と不気味が支配するサキの世界をかいま見るものは、思わず背筋の寒くなるのを感ずるだろう。』~ ①アン夫人の沈黙 8点 口論をした夫婦。夫は妻に許しを乞うが・・・ブラック ②狼少年 7点 森に棲む少年は夜になると・・・皮肉 ③二十日鼠 7点 青年は列車の個室で婦人と二人きり。青年の服の中に二十日鼠が・・・爆笑 ④トバモリー 6点 猫にしゃべらせる技を発見したが・・・はた迷惑 ⑤刺青奇譚 6点 刺青代金を踏み倒したところ・・・発想がユニーク ⑥スレドニ・ヴァシュター 6点 子供は叔母に内緒でイタチを飼う・・・子供の狂気 ⑦イースターの卵 4点 大公の歓迎会で天使に扮した子供がイースターの卵を渡すが・・・ ⑧グロウビー・リングトンの変貌 4点 飼っていたオウムが死にペットを変えると・・・ ⑨開いた窓 7点 部屋の窓を開けておく理由を聞いたお客は・・・ユーモア ⑩宝船 6点 公爵夫人が大金をかけ沈没船を捜すと・・・皮肉 ⑪蜘蛛の巣 6点 老婆は死神が来たという・・・反転 ⑫宵闇 7点 詐欺を見破ったはずが・・・ユーモア ⑬話上手 4点 叔母の話はいつもつまらない・・・ ⑭物置部屋 5点 叔母のお仕置きから物置に逃げ込む少年は・・・ ⑮毛皮 6点 女友達はプレゼントで仕返しを・・・ ⑯おせっかいと仕合わせな猫 4点 芝居のチケットを誰かに施そうとするが・・・ ⑰クリスピナ・アムバリーの失踪 7点 身代金の受け取り方法は? ユーモア ⑱セルノグラツの狼 4点 人が死ぬと狼が吠えるという伝説 ゴシックホーラー ⑲人形の一生 5点 ウィンドウに飾られた人形が売れたが・・・子供の邪気 ⑳ショック療法 4点 人の手紙を開封してしまう夫人に対して・・・ ㉑七つのクリーム壺 7点 手癖の悪い親類が宿泊。壺が無くなり彼のバックから壺が・・・機転と二段落ち |
No.1 | 6点 | mini | |
(2015/04/16 09:57登録) 昨日、風濤社という出版社からサキの第1短編集「レジナルド」が刊行された、先日にも白水Uブックスから同じくサキ「クローヴィス物語」が刊行された、さらには近々に理論社からも予定があるらしい 「クローヴィス物語」の方は藤原編集室の取り扱いで、挿絵がエドワード・ゴーリーって似合い過ぎ(笑) 白水Uブックスと藤原編集室とのタッグでは来月にもあの伝説のホレス・マッコイ「彼らは廃馬を撃つ」が予定されている ここへきてのサキ連発は何か理由が有るのか?生誕何年ってわけでもないし、ただ来年が没後100周年にはあたるけど サキの日本での短編集はいくつもあるけど、それらには共通した特徴が有って、大抵が日本オリジナル編集で、要するに傑作選的性質のものだ ところが今回連発された短編集は抜粋したものではなく、本邦初の原著の短編集の完訳らしいのである 従来からの短編集の中でサキの入門書としてはどれが適当か? 分量的には全集が得意な”ちくま文庫”版になるが、やはり量的に全集は入門者にはちょっときつい やはり入手容易で手頃なのはハルキ文庫版、新潮文庫版、岩波文庫版あたりだろう ただハルキ文庫版は収録作選択に癖があって2冊目以降向きだ となると一番無難なのは翻訳にも定評が有って古くからの定番入門書である新潮文庫版だろう しかしミステリー読者の立場から言わせてもらえば、新潮文庫版は代表作の1つでサキの中ではミステリー風味が強い「スレドニ・ヴァシュタール」が収録されていないという致命的な欠陥が有る ミステリー書評者としての私が選ぶ入門書のベストチョイスは、重要作を一応網羅しコンパクトに纏めた岩波文庫版である 岩波文庫ってさこういう手頃な入門短編集編むの上手いんだよね、これで入門して上で述べた「クローヴィス物語」に行くのがベターでしょう 岩波文庫版は「狼少年」「二十日鼠」「トバモリー」「スレドニ・ヴァシュタール」「開いた窓」「話し上手」といった代表作がまぁまぁ過不足なく収められており、サキという作家を知る事が出来るだろう 中でもサキらしいオチ重視な作ではないので、オチだけを求める読者には合わないだろうが、私のベストは「トバモリー」である サキの代表作には案外と上で述べたレジナルドやクローヴィスといったシリーズキャラが登場しないノンシリーズが多いのだが、「トバモリー」はクローヴィスものの1つでシニカルな傑作だ そもそもサキという名前を知らないなんてのはミステリー読者として失格である、ライヴァルであるO・ヘンリーと共に代表的な短編の1つ2つくらいは読んでおきたいとところだ、一編一編の分量も短いしね |