home

ミステリの祭典

login
白犬の柩

作家 垂水堅二郎
出版日1963年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2015/03/29 20:15登録)
(ネタバレなしです) 1960年代にわずか2作のミステリーを発表し長い沈黙の後、1990年代になって芳野昌之というペンネームで作品を発表した作者の1963年発表の長編第2作の本格派推理小説です。1962年のデビュー作のスリラー小説「紙の墓標」(後に「紙の墓碑」に改題)は、使われているアイデアが英国の某多作家が1928年に発表したスリラー小説とあまりに類似している胡散臭さが気に入らなかったのですが本書はなかなか力の入った作品だと思います。ペットの誘拐事件(誘拐犯は最初から判明しています)に端を発するサスペンス小説風に始まりますが、個性的な登場人物の思惑とすれ違いが予想外の展開を見せるプロットを生み出しています。本格派推理小説としては偶然の産物で殺人犯があの人に決まった(?)かのような真相は謎解きとして不満もありますが、皮肉に満ちた結末が何とも言えません。

1レコード表示中です 書評