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ミステリの祭典

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粗忽長屋の殺人(ひとごろし)

作家 河合莞爾
出版日2015年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2015/03/30 18:56登録)
落語ミステリ、といっても愛川晶や大倉崇裕が書くような落語界を背景としたものではなく、熊さんや八っつぁんが持ち込んだ謎を、長屋のご隠居が鮮やな推理で解決するという、古典落語でお馴染みのキャラクターがそのまま登場する文字通りの"落語"ミステリの連作です。

長屋のご隠居が名探偵という点では仁木悦子の「横丁の名探偵」という先例がありますが、各編とも古典落語の演目を下敷きにして、そこに隠された謎を創作するという趣向が作者のアイデアといえます。こういう作風のものも書けるのかと、ちょっと感心しました。
収録作は、伊勢屋の器量よしの女房の婿養子が次々と死んでいく「短命の理由」、住人を集めて下手な義太夫を聞かせようとする大店の旦那の真意「寝床の秘密」、熊さんの死体を見かけた八っつぁんが本人に知らせに走る「粗忽長屋の殺人」、死んだ花魁を香を焚いて呼び出す坊主「高尾太夫は三度死ぬ」の4編。いずれもミステリとしての仕掛けは底が浅く真相は割と分かりやすいが、レギュラー三人のボケとツッコミのやり取りが抜群に面白い。また、小噺風のつかみから人情話に持っていく展開や、謎解き後のサゲも”原作”の味を損なわない配慮がうかがえる。

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