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ミステリの祭典

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濁った航跡

作家 陳舜臣
出版日1968年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/04/14 18:24登録)
東南アジアの富豪相手に日本人女性を愛人として”輸出”し、貢がせたのちに金品と女性を回収するという”裏稼業”に手を染めていた桃井は、コンビを組む古賀が何者かに殺されたことを知る。やがて高校時代の友人でもある刑事の前島が頻繁に彼の前に現れたかと思うと、第2の殺人が発生する---------。

昭和43年に読売新聞社から”新事件小説全集”という叢書の一冊として出版された長編ミステリ。”女性の海外輸出”やブルーフィルム撮影という裏社会を背景にしていることもあって、全体的に暗いトーンに覆われた作品になっている。
加賀と桃井の裏稼業に関って大金を得た女性たちは、資金を元手にクラブを経営するもの、異国の地で愛人として住み続けるもの、ヒモに大金を絞り取られ堕ちていくものと、その人生模様はさまざまで人間ドラマとしては面白い。ただ謎解きミステリとしては、2番目の被害者が出てきた時点で犯行動機は明らかで、犯人もだいたい見当がついてしまうのが難点-------と思いきや、最後にサプライズが仕掛けられていましたw  伏線らしい伏線が見当たらないサプライズのためだけのドンデン返しという感があるものの、読者を翻弄したいという作者の姿勢はうかがえる気がします。

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