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ミステリの祭典

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僕は秋子に借りがある
自選短編集

作家 森博嗣
出版日2008年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2015/04/05 20:57登録)
自選短編集。既刊の『まどろみ消去』『地球儀のスライス』『虚空の逆マトリクス』『今夜はパラシュート博物館へ』『レタス・フライ』の収録作の中から13編が採られている。(『レタス・フライ』収録の2編は今回初読)

どんでん返しを仕掛けた意外とマトモなミステリがあるかと思うと、作者の意図がよく分からない不条理小説や幻想風のモノ、私小説風の恋愛小説まであり、非常にバラエティに富んでいる。
ミステリでは「虚空の黙禱者」と「小鳥の恩返し」が甲乙付けがたい出来栄え。好みでいえば、ラスト近くの衝撃的なひとことで戦慄を覚える前者を推す。
小学6年生たちのコメントだけで構成された「卒業文集」は、読み返してナルホド~となるタイプの技巧的作品。
全然ミステリではないが「キシマ先生の静かな生活」は、かなり個性的な理系男の恋愛観や生きざまに新鮮な感動を覚える文芸的な作品。
表題作の「僕は秋子に借りがある」は、主人公の前に突然現れた不思議ちゃん風の女性キャラが、真相を知るとガラリと印象が変わる、ラストの哀切感がたまらない個人的ベスト作品。

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