home

ミステリの祭典

login
バスジャック

作家 三崎亜記
出版日2005年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2015/03/01 22:17登録)
普通の感覚では絶対に書けない類の、ファンタジー短編集。ファンタジーと言っても決して壮大なものではなく、よくある日常の中に突如姿を現した異常や不可解を描いた、一種異様な物語の数々である。
例えば、町内に回ってきた回覧板の内容は、二階に扉を取り付けるようにとの指示。町内で自分の家だけまだ取り付けていないことを知った主人公は早速業者に依頼するが、その作業がまた一筋縄ではいかない。
或いは、マネキンとも人形ともつかない者と同居する人たちが共同生活をしているアパートに、母を訪ねてきた少女。彼女と「その人たち」の行く末とは。
といった、意味不明とも取れるストーリーが次々と展開する。だが、それぞれが決して絵空事ではなく、しっかりとしたリアルさを伴っているところがまた厄介だ。読者の想像の斜め上をいく奇想を持った短編集は、力強く我々の心をえぐるように食い込んでくる。

1レコード表示中です 書評