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ミステリの祭典

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犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
史学部シリーズ

作家 コニー・ウィリス
出版日2004年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2022/09/16 18:41登録)
タイムトラベルもののSFミステリ。ではあるが、血涌き肉躍る活劇があるわけではない。二〇五七年の英国が舞台。死亡率の極めて高い新型インフルエンザが世界的に大流行して人口は激減し、文明は停滞しているという設定。第二次大戦の空襲で焼失した大聖堂の復元計画があり、それに欠かせないのが聖堂内にあったはずの花瓶なのだが、行方が知れない。主人公のオックスフォード史学科大学院生は、花瓶を求めタイムマシンで十九世紀へと旅する。大半はこのヴィクトリア朝を舞台としたお話に割かれていて、だからどこか歴史小説の趣もある。読んで爽やかなのは、おおらかで落ち着いた時代を、ゆったりとした筆致で描いたことにあるのだろう。恋模様一つとっても、品がよく優しい。もちろん筋書きもなかなかに巧みで楽しめる。

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