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ミステリの祭典

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あらゆる信念
ウィラ・ジャクソンシリーズ

作家 ライア・マテラ
出版日1992年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/05/18 19:33登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表のウィラ・ジャクスンシリーズ第4作です。このシリーズはウィラのキャラクター小説的要素が非常に強いのですが特に本書はミステリーとしてはかなり変則的で、フーダニット(犯人探し)としては成立していません(といっても推理がないわけではありませんが)。第2作の「殺人はラディカルに」(1988年)と比べるとウィラを取り巻く環境の変化にも驚きますが、それ以上に驚いたのがウィラ自身の変化です。今までは打ちのめされてもそれを打破しようとしている姿勢を見せていたのが、本書では瞬間的に激昂することはあっても長続きせず、やめていたマリファナに手を出したり高所から飛び降りることが頭をよぎったりと、現実逃避に走りそうなウィラが痛々しいほどです。脳天気なコージー派ミステリー全盛の時代にこのような沈痛な雰囲気のミステリーはかなり異色の存在だったのでは。

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