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ミステリの祭典

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河童

作家 芥川龍之介
出版日1949年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ∠渉
(2015/01/18 21:20登録)
高校時代の惨状から遠く離れて、まさか今自分が芥川の作品を読んでいるだなんて、精神を病んでいるとしか思えない(笑)。現国のときに『羅生門』を読んだときに、「あぁもうオイラが芥川を読むことはないな」と思ってたその「オイラ」が数年後に芥川を読んでいるのである。しかも晩年の、ディープな世界観のやつをよりによって選んでしまうのである。多分、ナルシストなんだと思う(笑)。よくもまぁ気取った読書家になったもんだ(日本語オカシイ笑)。

とまぁ自虐的に掴みの文章を書いてみましたが、まぁこの程度の文才(!?)じゃあこの程度の自虐である。芥川龍之介程の文才が自虐を書くと『河童』という作品集のようになるのである。もう読んでられない、というよりかは読む気になれない、感じである。人間社会を皮肉った『河童』なんかはSFめいた掴みがあって、フィクショナルな風味が強いからある程度面白く読めたけれど、『歯車』、『或阿呆の一生』、『或旧友へ送る手記』はもうほぼドキュメンタリーである。しかも鬱で自殺間近の才能あふれる文豪が自分で自分を描いたドキュメンタリーなのである。アメリカかぶれ風に言うとリアリティ・ショーか。しかもこの鬱野郎の質の悪いのはそんなドキュメントを作品にして残すあさましさ(笑)。もう自分に酔っているとしか思えない。自意識過剰の極致。でもそんな作品を皆こぞって評価してるのである。もうそろいもそろって病んでるとしか思えない(笑)。まぁ楽しくない小説だけど面白いのは間違いない。少なくとも心には残った。おススメはしないけどね(笑)。

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