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ミステリの祭典

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藤村正太探偵小説選 Ⅱ

作家 藤村正太
出版日2015年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/02/11 10:51登録)
川島郁夫名義の短編全集。2巻目の本書は昭和28年~33年にかけて雑誌・新聞に掲載された24編が収録されています。本格モノや幻想・怪奇風のもの数編に、男女の愛欲を絡めた通俗的なサスペンスが大半を占めています。

本格的な謎解きミステリでは、「残雪」「妻恋岬の密室事件」「乳房に猫はなぜ眠る」の3編が(いずれもアンソロジーで既読ながら)トリッキィな密室モノでまずまず楽しめる。とくに、懸賞付き犯人当てとして書かれた「乳房に猫は~」は、最後のページにミスディレクションの狙いなどの作者による”解説”がついているのが珍しい。また密室トリックを類別しながらの謎解きが効果的です。
アリバイ・トリックを扱った「暁の決闘」は力作ではあるものの、犯人のチグハグな内面が理解できないところがある。
トルコのイスタンブールを舞台にした幻想的な3編は、顔を隠すイスラム女性の慣習を利用したトリックをはじめ、いずれも構成が似ているのが気になった。
その他、男女の愛欲をテーマにした作品でも、謎めいた女性の誘惑に惹かれた主人公が最後には.....といった同じパターンが何度も出てくるのには参った。

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