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ミステリの祭典

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特命社員殺人事件

作家 藤村正太
出版日1976年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/01/20 18:59登録)
東京湾の貯木場の輸入材木の中から白骨化したエリート商社員の死体が発見される。被害者は、大手商社のある密命を受けてマレーシアへ出張中に密林で行方不明になっていたことが分かる。下請け会社の社員・若江は、謎を追って単身ボルネオ島のサンダカンへ飛ぶが--------。

大手商社の謀略工作と、サンダカン・シアトル・東京を結ぶ広大なアリバイ・トリックを扱った本格ミステリ。
国際的スケールのアリバイという点では「脱サラリーマン殺人事件」と結構は似ていますが、今作はトリックにそれほど面白味がなかった。人骨が2段階に分けて発見される理由はなるほどと思えるものの、〇〇を配したのでは興醒めになってしまう。
シアトルの第2の殺人のアリバイ工作も「そんなの知るか!」という特殊知識が出てきた時点でちょっと白けてしまった。
警察の捜査ではなく一般人を探偵に据えている点は、最初はその行動原理に疑問があったが、サンダカンの娼婦ファティマとの交情や子会社社員が抱える屈折感などの人間ドラマ部分も書きたかったのかと思うと納得できる。マレーシアの物語を膨らませ、主人公にもう少し深みを持たせればもっとよかったのだけど。

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