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ミステリの祭典

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郵便配達人 花木瞳子が盗み見る
郵便配達人シリーズ

作家 二宮敦人
出版日2014年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2014/12/27 22:20登録)
二宮敦人の新たな代表作と言ってもいいだろう。かなりの力作なのだが、細かいところで疑問点が若干気になるのでこの点数にした。しかし、内容的には7点でもよかった。
引きこもりの男性が毎日自分宛に手紙を出す謎、三人の佐藤さんに同じ文面の意味不明の手紙が届く謎と、序盤から中盤にかけては日常の謎的な作品なのかと思わせるが、やがてこれらの二つの不可解な出来事が繋がってきて、とんでもない惨劇を引き起こす。最初はこれらの二つの謎が独立したものなのだと勘違いしていたが、有機的につながりを持ってくるストーリー展開はなかなかのお手並みである。
男っぽい郵便配達の花木瞳子と先輩の持丸の掛け合いは軽妙で、陰惨な事件を扱った本作を、陰気なものになりそうなのをうまく中和している。
さらに、過去のモノローグのエピソードが所々に挿入されているのが、ささやかな感動を呼び、後味の良さに一役買っている。

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