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ミステリの祭典

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クラウド

作家 門谷憲二
出版日2014年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2014/12/26 20:28登録)
 作者の本業は作詞家で、'70年代フォーク・シーンから登場したひと。代表作は「通りゃんせ(佐藤公彦)」「君は薔薇より美しい(布施明)」等。そっち側からの軽い興味で手に取ったが、作詞家の余技などではない骨太な作品で失礼ながら少々驚いた。但し、あまり読まないジャンルなので、舞台設定の(個人的な)目新しさに紛れてストーリーへの評価が甘くなっているかも。
 日本中国台湾の微妙な綱引き関係を背景に天才ハッカー同士の対決と警察機構の諸々を描いたサスペンス、といった内容。ミュージシャンが書いた小説などにありがちな雰囲気モノでは全くない。かなりの知識もしくは下調べの上で複数の陣営の複雑な思惑を緻密に描いている。
 瀬川、正宗、あかねの“瀬川チーム”のエピソードが印象的。
 最終章で突如、幻想小説みたいになるのも、「名探偵」といった解説役が不在な以上まぁアリかなあと。ただ、明かされた“結城情報”の中身には失笑してしまった。
 あと上下巻に及ぶのはちょっと長過ぎ。キャラクターが矢鱈多い、のはともかく、警察関係者(特に上層部)の印象が似通っているのは、しかたないかもしれないが物足りなかった。

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