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ミステリの祭典

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ヴォイド・シェイパ
<ヴォイド・シェイパ>シリーズ

作家 森博嗣
出版日2011年04月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 ∠渉
(2014/12/04 21:35登録)
捕物帳/歴史ミステリにしたはいいけど、たぶん違う笑。まぁS&Mもミステリかって言われたらグレーゾーンだし、森作品は全体的にノンジャンル感があるので笑って許して欲しい剣豪小説シリーズなのである。

主人公は侍で、舞台もたぶん江戸時代なので何とか時代小説としての体裁は保っているが、各章ごとに大立ち回りがあるわけでもなく、時代背景の描写もすごい薄めだし、主人公・ゼンの一人称目線で話が進むのも、これまた厄介である。人里離れた山奥で師匠・カシュウとともにすごしてきたゼンが、カシュウの死を機に山から下りて放浪するわけだが、ゼンは山生まれ山暮らしなので人間社会のことは何も知らない。そんなゼンの視点からしか情報が受け取れないので、読者にもゼンの視点が強いられる。いつもは俯瞰から見下ろしていた第三者的な視点はこの作品には通用しないのである。ただひたすらゼンの見る景色をゼンの息遣いを、ゼンの精神世界を読者は追い続けるしかない。そんなゼンの成長が、私はもう楽しみで仕方がない。なんて笑。

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