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ミステリの祭典

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ほおずき地獄
猿若町捕物帳

作家 近藤史恵
出版日2002年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2014/12/01 11:56登録)
シリーズ第2弾。
今作も前作同様、場面、視点はころころ変わり、時系列も前後入り乱れていて、構成は複雑。
でも決して悪い意味ではなく、なかなかうまい手法で、決まっています。
短いなかに、旨みがぎっしり。作ったあとに十分に吟味して削り込んだのではないかと思います。

同心・千蔭が追う事件は、吉原のほおずき絡みの幽霊騒ぎと、茶屋の主人夫婦の殺害事件。さらに、不気味な白髪の夜鷹が登場する。この老婆が事件にどうかかわってくるのか。
そして驚きの真相が待ち受けています。この真相は、小説でも、現実の事件でもたまに見かけることがあります。

偏屈な千蔭を支えるのは、女形役者の巴之丞、花魁の梅が枝、千蔭の父・千次郎、小者の八十吉の常連メンバー。キャラも固まってきたようです。
今回はサイド・ストーリーとして千蔭の縁談話があり、これにもサプライズな落ちがつく。
作者のサービス精神でしょう。

とにかく作者の女性らしい文章テクニックが冴えわたった作品でした。
サイド・ストーリーを含めたストーリー・テラーぶりからすれば、女・東野圭吾といってもいいのではないか。
まだ2作しか読んでいないのに、ちょっとほめすぎかもしれませんw

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