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ミステリの祭典

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星が流れる

作家 藤村正太
出版日1967年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/01/31 11:11登録)
余命3か月の宣告を受けた富豪衣笠家の当主・令太郎は、住込みのお手伝いをしている遠縁の娘・俊子を相続人の一人に加えると家族全員に伝える。遺産の配分を巡って俊子に対する風当たりが強くなるなか、やがて7人の相続人の一人が他殺体で見つかり、俊子はある人物とともに真相を探ることに---------。

昭和30年代に少女雑誌に連載され、昭和51年に朝日ソノラマ文庫から出版されたジュヴナイル小説。
タイトルからして”いかにも”という感じですが、ロマンスとサスペンスを交える形で、女性読者を多分に意識した本格ミステリになっています。また、田舎から上京したばかりの娘が主人公で、一同から疑惑の視線を浴びる状況は、「孤独なアスファルト」の作者らしい設定でもありますね。
本書のメイントリックにはいくつか前例があり、クリスティ作品が有名ですが、某国内古典作品のほうが本書の設定に似ているかなと思います。偽の手掛かりによるミスディレクションも露骨で、今読むと犯人当てのミステリとしては歯応えがないのですが、昭和30年代当時のジュヴナイル・ミステリとしては、まあまあの水準作と言えるかな。

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