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ミステリの祭典

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焼け跡のユディトへ

作家 川辺純可
出版日2014年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2021/02/02 22:46登録)
第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞で、受賞ではなかったものの優秀作とされた作品です。
時代背景は昭和26年で、舞台は瀬戸内の町。ということは横溝正史の岡山もの作品が次々生まれていた時期で、しかも広島の話なども出てきて事件とつながってきます。
巻末の選評で島田荘司は、投稿時、つまり改稿前の本作について「表現は達者の部類に入る」としていますが、それほどかな、という気がします。確かに小説の文章としては悪くありません。しかし出版された改稿版でも、やはり謎を魅力的に表現できていないと思うのです。これは大げさな表現を使うかどうかとは無関係でしょう。探偵役のディックが会話の中で時々入れる英語(日本語にカタカナルビがふられている)も、本当にその日本語を思いつかなかったから英語で言った、という感じはあまりしません。
事件全体の構造も、まあ悪くないというレベルでしょうか。

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