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ミステリの祭典

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黒い瞳のブロンド
新作フィリップ・マーロウ

作家 ベンジャミン・ブラック
出版日2014年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2014/11/28 21:45登録)
ある夏の日、私の探偵事務所を訪れた優美な女は、髪はブロンドだが瞳が黒色という珍しい取り合わせだった。その女クレアから、突然姿を消したかつての愛人を捜してほしいと依頼されるが、私の行く先々で死体が転がり、最後に辿り着いたところには意外な人物の姿があった---------。

あの「長いお別れ(ロング・グッドバイ)」の公認続編を標榜するフィリップ・マーロウの復活譚。チャンドラーが遺した創作ノートにタイトルだけ記された”The Black-eyed Blonde”を元に、ブッカー賞作家ジョン・バンヴィルが別名義で書き下ろした作品です。
信奉者が多い名探偵のパスティーシュを書くと、とかく「ポアロはそんな言い回しをしない」とか「マーロウはもっとストイック」といったクレームがついて回るのは世の常で、これはある程度やむを得ないところでしょう。たしかに、本書のマーロウは度々リンダ・ローリングへの想いが出てくるなど、女性に対するストイックさに欠けるようです。
それでも、プロットは”ネオではない”古典ハードボイルド小説の定型を忠実に再現するなど、割と健闘している方だと思います。ただ、ラストの処理に関しては、ある意味「長いお別れ」をも貶めているといったような否定的な感想が多いのではと思いますが。
なお、本書にはテリー・レノックスの行末などの”前作”のネタバレに触れている箇所があり、またラストの衝撃を味わうためにも「長いお別れ」を先に読んでおくことが必須です。

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