| 死はあまりにも早く プール警部シリーズ ROM叢書 |
|---|
| 作家 | ヘンリー・ウエイド |
|---|---|
| 出版日 | 不明 |
| 平均点 | 6.50点 |
| 書評数 | 2人 |
| No.2 | 7点 | YMY | |
|
(2026/04/29 20:41登録) ブラックトン屋敷の当主のジョン・ジュロッド大佐は、巨額の相続税を回避するため既に財産の大半を息子のグラントに移管していたが、課税を免れるためには贈与から五年が経過する一九五〇年九月二十五日までは生存していなければならなかった。ところが大佐は主治医から肝臓癌で余命六カ月との宣告を受けた。一族の財産を守るため、大佐が亡くなっても弟のフィリップが大佐に変装して必要な生存期間を経過したと見せかける計画を立てる。 倒叙形式で語られる作品で、犯人側、捜査側双方の動静が逐一詳細に記述される。サプライズを呼ぶミステリ的な仕掛けは特にないが、悲劇的な犯罪小説として十分に読ませる。社会性も色濃く、社会的諸条件の変化が相続税という形をとって世襲財産を解体し、特権階級を没落させる。その時代のうねりの中に発生した一つの悲劇が哀惜をこめて描かれている。 |
|||
| No.1 | 6点 | nukkam | |
|
(2014/10/20 18:11登録) (ネタバレなしです) 1953年発表のプール警部シリーズ第6作ですが、彼が活躍するのは中盤以降です。非シリーズ作品の「塩沢地の霧」(1933年)と同じく、犯行場面を直接的には描写してはいませんが事件に至るまでの経緯はあらかじめ読者に対してオープンにしてある「半倒叙」スタイルを採っています。犯人当てとしての面白さは放棄した作品ですが、脇役に至るまで人物造型がしっかりしているためか地味な展開ながら退屈することなく読めました。結末の劇的で印象的な締めくくり方もこの作者ならではの巧さが光ります。 |
|||