home

ミステリの祭典

login
死を招く料理店

作家 ベルンハルト・ヤウマン
出版日2005年02月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 nukkam
(2014/10/20 12:28登録)
(ネタバレなしです) ドイツの作家ベルンハルト・ヤウマン(1957年生まれ)による2002年発表の本書は人間の五感(聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚)をテーマにし、世界の五都市(ベルリン、メキシコ・シティー、シドニー、東京、ローマ)を舞台にしたミステリー五部作の最終作にあたる本格派推理小説です。設定も半端でなければプロットも半端ではありません。推理小説家である「わたし」の物語と、その作品の探偵である「ブルネッティ」の物語が交互に描かれる構成をとっています(いわゆる作中作です)。しかし一部の登場人物が両方の物語に出現したり、誰が死んだのかさえもどんでん返しがあったりとひねりにひねった展開に読者は最後まで振り回されます。複雑難解ですが魅力も十分にあり、第3章での迷宮を思わせる地下教会での追跡劇と逃亡劇が入り混じった冒険談、第6章での「パスタ食ってみろ」騒動のちょっと狂気じみたユーモア、第8章での推理小説の読者の視点に立ったユニークな犯人当て推理など、読ませどころが一杯あります。そして美味しそうな料理やローマの観光地描写もたっぷり。詰め込み過ぎてごった煮風になっているので万人向けではありませんが結構な力作です。

1レコード表示中です 書評