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ミステリの祭典

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邪馬台国はどこですか?
早乙女静香シリーズ

作家 鯨統一郎
出版日1998年05月
平均点6.98点
書評数42人

No.2 8点 おしょわ
(2007/10/15 23:09登録)
純粋に楽しめました。なるほどなぁ。

No.1 10点 レイ・ブラッドベリへ
(2007/10/13 13:02登録)
 「これって歴史ミステリだよね。自分は歴史には興味がないから…」と立ち去る人が多いんだろうな。
 あるいは、「この作家ってバ〇ミスの人でしょ。ふふ。…あ、先を急ぐから、じゃあね」って、行ってしまう人も多いんだろう、きっと…。
 昔、藤子不二雄Aの「まんが道」で、主人公が返本された「漫画少年」の山を見て、「なんで人気がないんだろう。こんなに面白いのに」とつぶやくシーンがあったが、僕もそんな気持ちだ。
 でも確かにこのジャンルって、好みが分かれるんだろうな。 歴史ミステリというのはジョセフィン・テイの「時の娘」を嚆矢とし、そこにはリチャード三世の知られざる素顔について、何かいろいろ書かれてある、なんていうのを聞くと、僕だって「また今度ね」って言って二度と近づかないだろう。 
 けど物語の開始早々、「邪馬台国は九州か、畿内か」の問いに対し、「〇〇だ」「こんなに堂々と土地全体が、”邪馬台国はここだ!”って叫んでいるのにそれに気づかないなんて、そうとう呑気だぜ」なんてカマされると、ビックリして「どれどれ」という気にもなる。そしてユーモアに満ちた会話とはうらはらに、妙に説得力に富んだ論証を展開されると、いつのまにか「そうかも知れない…」とナットクしている自分に気づく。

 それから「四万人の大軍に対して、たかだか四千の軍勢を率い、何の対抗策も持たないまま、大将自ら敵の正面にただぶつかって行った」桶狭間での織田信長の謎や、「仏陀は悟りを開いていなかった」理由を聞かされると、もうホラ話でも逆説でもなく、「きっとこれが真実なのだ」と鯨さんの教えに改心させられてしまうのだ。
 
 その後、鯨さんのファンになった僕は、どんどんと出版されていく新刊を次々に読んでいった。けれど、「これは」と思う作品には巡り合うことができず、そうこうしているうちに鯨さんはスッカリ、あっちの領域の人になってしまった。

 それにしても、何故、僕はこの作品に、こんなに惹きつけられたのだろう。何が、僕をこれほどまでに面白がらせたのだろう。(僕は決して歴史ものが好きなわけではないので、それが理由ではないと思う)。このことを考えていくと、きっと「自分」という人間を構成している一片を知る手がかりになる気がするのだ。

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