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ミステリの祭典

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謎の野獣事件

作家 西東登
出版日不明
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/10/14 20:13登録)
動物業者の松崎のもとにアメリカ人船員が密輸入した灰色クマの子供のような動物が持ち込まれる。ところが、山梨の動物園に移送途中に事故に巻き込まれ、「彼」は奥多摩の山中に逃げ込んでしまう-------。

”動物推理シリーズ”と銘打たれた長編ミステリ。だいぶ前に読んでそこそこ面白かった覚えがあったのだけど、中盤過ぎまで読んでもストーリーに覚えがない、ラストに明らかになる”野獣の正体”も思っていたものと違う。おかしいなと思い調べてみると、なんと似たタイトルの「幻の獣事件」と混同しておりましたw
山中に逃げた夜行性の肉食獣「彼」の壮絶な生きざまを描いたパートはドラマチックで、非常に読み応えがあります。しかし、その部分は本書のサブストーリーで、本筋は、恋人のエリート会社員に裏切られたタイピスト・夏子の復讐の物語ですが、この倒叙形式で語られる人間ドラマ部分がかなり陳腐な内容なのが残念。
野獣のパートと夏子がどう繋がっていくのかも予測できてしまうので、ミステリとしてはあまり高い評価はできませんでした。

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