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ミステリの祭典

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一角獣の繭
建築探偵シリーズ

作家 篠田真由美
出版日2007年06月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2017/05/24 18:25登録)
(ネタバレなしです) 2007年発表の桜井京介シリーズ第13作です。このシリーズのラスト5作(第3期)については作者から出版順に読むよう示唆されていますが、本書はシリーズ前作の「聖女の塔」(2006年)と密接な関連があり、あちらを読まずに本書を読むと読みづらい部分があります(しかも「聖女の塔」についてのネタバレ満載)。またこのシリーズは蒼の成長物語要素が強いのですが、これまで被保護者的な立場で描かれていた蒼がある人物と出会い、保護者へと変容しているのが印象的です(といっても急に強く頼もしくなったりはしないのですが)。桜井京介はあまり登場せず謎解き説明さえほとんどしないのですが、最後に驚きの行動をとります。しかしその続きは次作を読んで下さいという締めくくりで、何とも商売上手なこと(笑)。「聖女の塔」よりは本格派推理小説らしさがあるものの(一角獣の角で刺されたような死体が登場!カーター・ディクスンの「一角獣の殺人」(1935年)を意識したのでしょうか?)、真相の説得力は弱いです(説明が不十分で無理なトリックにしか感じられない)。

No.1 7点 初老人
(2014/09/28 00:28登録)
時系列としては、宗教団体による集団自殺事件(聖女の塔)の直後にあたる。前作で心に傷を負った蒼は門野の勧めで長野の鏡平の会員制リゾートに静養に赴くのだが、そこで放火惨殺事件の生き残りの少女と宿命的に出逢い、惹かれてゆく。そんな中閉ざされたリゾートで殺人事件が起きる。被害者は少女の母親で、青銅製のユニコーンの角に眼を貫かれ事切れていた。
二年前に起きた未解決の放火殺人と、現在の殺人事件が複雑に絡み合い、今作は考える事が多いです。そして何よりも蒼の初恋は成就するのか。この辺りも読みどころの一つと言っていいでしょう。
そして全てが終わった後訪れる衝撃的な展開。桜井京介はどこへ向かおうとしているのか…シリーズのラストに向けて全てが動き出したという印象を受けました。

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