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ミステリの祭典

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幻想マーマレード

作家 小泉喜美子
出版日1981年05月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 kanamori
(2015/05/04 21:38登録)
サブタイトルに”奇妙な味の12の短編”と銘打たれた作品集。
謎解きものはなく、サスペンス小説もハードボイルドも収録されていない、たしかに作者にとっては異色の短編集なんですが、一般的に言う”奇妙な味”タイプとも違う感じがします。

時代や場所が不明で固有名詞もほとんど出てこない作品が多く、軽い風刺も入った作風は、星新一のショート・ショートを短編にしたような印象を持ちました。
冒頭の「観光客たち」は、そういったあやふやな設定が効果を上げていてオチが決まっていますが、読み進めていくと徐々に慣れてきて、たいていの作品でだいたい結末が予想できてしまいます。なかには軽く書き流しているのではと思える凡作(「木美子の冒険」のような駄作も)見受けられるのが残念です。
そんななかで強いて印象に残った作品を挙げるとすれば、「観光客たち」「太陽ぎらい」「南の国の鸚鵡たち」ぐらいになるかな。

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