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ミステリの祭典

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錆びた炎

作家 小林久三
出版日1977年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2016/05/03 11:24登録)
都内有数の総合病院から血友病で入院していた5歳の子供が誘拐される。その少年の病状は常に輸血を必要とし、出血に際しては生命の危険を伴うものだった。やがて、犯人は少年の家族ではなく、世田谷に住む院長の種村に身代金を要求してくる--------。

昭和52年に刊行された誘拐ものサスペンスの力作。
血友病を生死にかかわる重篤な病状に描き、タイムリミットを設けてサスペンスを盛り上げる作品という記憶があったのだけど、平成11年に再版された本書を読むと、72時間の制限は犯人側が設定しており、そのためデッドラインの緊迫感はやや薄められている印象を受けました。映画化された際に、医学界などから血友病の扱いに誤りがあり偏見を与えかねないというクレームがあったらしいので、改稿されたのでしょうか。
とはいえ、都内の地下鉄網を利用した身代金受け渡しを巡る攻防はなかなか読み応えがあり、犯人側の連絡手段のアイデアも面白いです。
ペルシャ猫を入れた鳥かごを持つ女性に関するトリックには無理を感じ、また後出しの情報が多いのも気になりますが、事件全体の構図を誤導し最終的に意外な真相に結びつけています。

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