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ミステリの祭典

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ザ・バット 神話の殺人
ハリー・ホーレ刑事

作家 ジョー・ネスボ
出版日2014年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2014/10/10 21:00登録)
オスロ警察のハリー・ホーレ刑事は、シドニーでノルウェー人女性が絞殺された事件の捜査協力のため、遠路オーストラリアにやってきた。現地捜査班の刑事で先住民の血を継ぐアンドリューとコンビを組むことになったハリー刑事は、やがて過去のブロンド女性連続絞殺事件との関連に気付く-------。

本書は「スノーマン」のハリー・ホーレ警部の若い頃の事件を扱ったシリーズの第1作で、ネスボのデビュー作でもある。
南半球の異郷の地が舞台ということもあり、北欧ミステリの雰囲気はない。
途中まではシドニー警察の刑事との相棒小説という様相で、異文化・現地風俗のガイダンス風。相棒アンドリュー刑事による先住民の伝承・神話の説明も挿入されつつ、淡々と捜査状況が描かれているのだけど、中盤過ぎに一気にストーリーが転調し、それまでのエピソードが全て伏線だったことに気付かされる。この構成はなかなか巧みです。
ただ、ハリー刑事がアルコール依存症になった原因である”過去”が語られることで、物語や人物造形に深みを与えていて、デビュー作としては完成度も高いとは思うものの、謎解きサスペンス物としては後半の展開が(衝撃的ではあるけれど)あまり新味を感じなかった。

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