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ミステリの祭典

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黒いアリス

作家 トム・デミジョン
出版日1976年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 kanamori
(2014/10/12 22:39登録)
聡明で天真爛漫な11才の少女アリスは、祖父から遺贈された信託財産に目を付けたグループに誘拐され、南部ヴァージニア州の売春宿に軟禁される。おまけに、メラニン色素を増やす薬によって黒人に変えられてしまう--------。

作者トム・デミジョンは、SF作家のトマス・M・ディッシュと、(「見えないグリーン」などのミステリを書く前の)ジョン・スラデックの合作ペンネーム。
「わたしはユーカイされるところなんだ!とってもスリル!」という、発端のアリスの呑気なつぶやきからは、ルイス・キャロル風の軽い風刺小説か、クライム・コメディを思わせるのですが、実際は想像を超えるタブーまみれの過激な展開の連続で、この内容でよく公民権運動で揺れる60年代に出版できたな、というのが率直な感想です。
人種差別的表現や過激な暴力描写に加えて、アリスの信託財産を奪うために実の父親が精神的虐待を加えるエピソードなど、かなりエグイ。長らく絶版で「復刊はまずありえない」というコメントをよく目にしたけれども、確かに肯ける。

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