home

ミステリの祭典

login
推定殺人

作家 ギリアン・リンスコット
出版日1992年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 nukkam
(2014/09/10 09:30登録)
(ネタバレなしです) 英国の女性作家ギリアン・リンスコット(1944年生まれ)は1980年代には現代を舞台にしたリネット警部シリーズの本格派推理小説を書いていましたが、作風を転じるきっかけと言えるのが1990年に発表された本書です。探検ブームのヴィクトリア朝英国を背景にした、シリーズ探偵の登場しない歴史本格派推理小説です。時代描写は事前に想像したほど濃厚ではありませんがそれを補ってあり余るのが人物描写と彼らが織り成す人間ドラマで、中盤まではミステリーらしくない展開ながら全くだれません。フーダニットとハウダニットの謎解き、そして2人の女性の間で右往左往する語り手(笑)の物語がバランスよく構成されています。カーやクリスティーの某作品で使われている仕掛けが採用されていますが、大胆に提示しながら同時に巧妙にカモフラージュされています。

1レコード表示中です 書評