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ミステリの祭典

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越後路殺人行
調査員・多門耕作

作家 中町信
出版日1993年03月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点
(2022/02/16 20:43登録)
中町信らしいプロローグなので、どこに仕掛けがあるのかと思っていたら、叙述トリックというほどのことはありませんでした。しかし犯人が勘違いした理由は、ごく単純ながら、実際にありそうだと納得させられるものです。ただそれを放置してかまわないとした犯人の心理には、リアリティがないと思います。
事故に見せかけた殺人の後、2件の殺人両方にそれぞれ異なるタイプのダイイング・メッセージ(その一つがプロローグ)というのは、ちょっと遊戯的すぎますし、その後で起こる事件は、かえって小説を安っぽくしているだけです。そんなこの作者によくある小説技巧的な欠点の他、本作では作者らしい発想の筋の良さが、ほとんどある人物が脅迫で「一千万円を要求した理由」のアイディアと、その理由に基づいた犯人の意外性だけで、謎解き的に小粒な感じになってしまっているのも不満なところです。

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