home

ミステリの祭典

login
路地裏のあやかしたち

作家 行田尚希
出版日2013年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2014/08/23 22:06登録)
何となく京極作品を彷彿とさせる作風を期待していたが、甘かった。だが、軽めながらこれはこれでそれなりの味わいを醸し出しており、好感が持てる。
登場人物のほとんどが妖怪だが、それぞれが人間に化けており、全く違和感がない。それだけに怪しい雰囲気はほぼゼロで、ただどことなく懐かしいような素朴な印象を受けるのが本作の特徴といえるだろうか。
本シリーズは表具師という相当マニアックな世界を描いており、他では得難い体験をさせてくれる。主に掛け軸に関しての怪異を扱っており、さして怖くはないが数多のホラーとは一線を画す作品に仕上げている。各キャラもきっちり描き分けができていて、特に猫又と雪女が化ける女子高生コンビは物語全体に花を添えている感じである。勿論、主役の400年生きている化け狐の環さんは、さすがの貫録と言えそうだ。見た目は二十歳そこそこの大人可愛い、和服が似合う楚々とした女性だというのだから、その魅力は妖怪といえどもバカにできないのである。

1レコード表示中です 書評