(2014/08/23 10:28登録)
(再読)著者のデビュー作(1978単行本)と同時期の短編集(1972~1977の作品集)。今思えば、当時は星新一氏のショートショートを読み漁っていた頃で、阿刀田氏のちょっとエロティックな大人の世界にぶち当たり、とても新鮮に感じて、それにハマってしまったのでしょう(笑)。その路線では、「蠢く夜」がいいですね。ある人妻は年一度だけアバンチュールをしてみたくなる。知り合った男は肩から三角巾を垂れていた。怪我でもないらしい。さて、そのわけとは・・・。全編に共通しているテーマは「死」です。基本はブラックユーモアなのですが、数編推理小説らしき展開のものもあります。表題作「過去を運ぶ足」はテレビドラマになったようです。~夫が帰宅すると、実母は倒れており、妻は浴槽(水)に浸けられていた。押し入り強盗が牛乳に睡眠薬をまぜたらしい。妻はそれが原因で流産する。その後実母は交通事故死。義父も心筋梗塞で死亡する。義父の葬儀のとき、義父の足が夫の弟(二卵性双生児・既に死亡)にそっくりなことを発見する・・・。~その他「記号の惨殺」・・・図書館のハイミスが自分を弄んだ後輩を殺害するアリバイトリックもの。「不在証明」・・・妻を殺害しようとし、ホテルの電話を利用しアリバイ工作する。しかし偶然愛人が同ホテルにおり、共犯扱いされる。などがミステリー風味があり楽しめました。
|