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ミステリの祭典

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個室寝台殺人事件

作家 草川隆
出版日1986年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2014/08/18 13:28登録)
(ネタバレなしです) SF作家として活躍していた草川隆(1935年生まれ)が(多分)初めて書いたミステリー作品が1986年発表の本書です。本格派推理小説に分類できますが犯人の正体は早い段階で見当がつき、ハウダニットの謎解きが中心になります。猟奇的犯罪、密室、さらには奇術師登場と派手そうな設定の割には地味な捜査と推理に終始します。しかも密室については実はトリックらしいトリックがなく、密室に期待するとがっかりすると思います(そもそもこれを密室と称してはいけないと思います)。また探偵役が複数(鈴木刑事、下川刑事、そしてある女性)いるのはいいのですが、彼らが全部の謎を解くわけではなく一部は第11章、第12章の犯行再現描写の中で説明されており、これも謎解きプロットとしてはちょっと物足りません。猟奇的事件を扱っていながらグロテスク描写に走らず、登場人物も無用に多くせず読みやすい点はいいのですが作品としての個性が欲しいですね。

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