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ミステリの祭典

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奥信濃殺人事件
氏家周一郎シリーズ

作家 中町信
出版日1992年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2015/01/27 21:38登録)
プロローグは、何か仕掛けてあることは明らかで、しかしエピローグを読んでなるほどと感心させられる1文が含まれていました。
ひなびた温泉で起きる毒殺事件、さらに東京の病院での殺人と続く中盤までは、あまり興味の持てない展開でした。フーダニットであるにもかかわらず、関係者の数は極端に少ないのです。さらにローレンス・ブロックや水上勉の後に読むと、小説としてのうま味がありません。
しかし、証言をしなかった理由について、「私が疑われてしまうからです」とある登場人物が語るあたりから、謎解きの興味がふくらんできます。それ以前にも、別の人物が口にしたあるセリフや、恐喝とは信じられないといった謎もあるんですけれど。そして最後には毒殺の経緯や密室の逆転発想などさすがにトリックに対するセンスの良さは感じさせてくれました。ダイイング・メッセージはかなり苦しいですけど。

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