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ミステリの祭典

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思考機械(未書籍化作品集)
「翻訳道楽」編

作家 ジャック・フットレル
出版日不明
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2014/08/31 19:00登録)
”思考機械”こと、ヴァン・ドゥーゼン教授ものの書籍化されていない作品を集めたもの。これまた宮澤洋司さんの「翻訳道楽」編。(おっさんさんから情報をいただいてから3年も経ってしまいましたw)

収録作は、①紐の切れ端 ②オペラ桟敷席の謎 ③オルガン弾きの謎 ④専用個室の謎 ⑤廃屋の謎 の5編で、初出は不詳ですが、おそらく新聞掲載のものと思われます。
個人的ベストは、初期の不可能トリックものをちょっと想起させる②ですが、情報の後出しが多いのが難点。(偶然にもコレはミステリマガジンの先月号にも転載されていました)。頭脳派のはずのヴァン・ドゥーゼン教授が、暗闇の地下室で冒険する⑤も異色作として捨てがたい。本来なら、こういった冒険は記者のハッチ・ハッチンソンの役回りなんですけどね。
ただ5作品いずれも枚数が少なめなので物語性が弱く、謎解きものとしても物足りないものが多かったのが残念なところです。

なお、渕上痩平氏のブログ「古典海外ミステリ探訪記」にも数か月前に、思考機械ものの初訳作品が3編訳載されておりました。「隅の老人」の完全版も出たことですし、次は「思考機械」の全作品邦訳版を期待したいものです。

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