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ミステリの祭典

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極北ラプソディ
極北篇シリーズ/改題『極北ラプソディ2009』

作家 海堂尊
出版日2011年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2014/07/20 22:13登録)
「極北クレイマー」の続編という位置付けの作品。
前作で単身乗り込んだ“再生請負人=世良”は、破綻した極北市民病院の窮地をいかにして救い出すのか?
姫宮が登場していたということはやっぱりアイツも出てくるのか? などなど興味は尽きないが・・・

~財政破綻した極北市の市民病院。再生を図る新院長・世良は人員削減や救急医療の委託を断行。非常勤医師の今中に、“将軍(ジェネラル)”速水が仕切る雪見市の救命救急センターへの出向を指示する。崩壊寸前の地域医療はドクターヘリで救えるのか? 医療格差を描く問題作!~

前作(「極北クレイマー」)のテーマは、医療事故と地域医療の二点だったが、本作のテーマはズバリ「救急医療」だ。
一時期新聞誌上で救急車のたらい回しなどがよく槍玉に上がっていたが、本作では海堂ワールドの住人で東城医科大学病院を追われた速水(将軍)が登場し、世良や今中とともに日本の救急医療の問題点を抉っていく。
そして、救急医療の象徴として登場するのが「ドクターヘリ」というわけだ。
(こんなこと書いてると、とてもミステリーの書評とは思えないけど・・・)

ただし、本作の読みどころはそこではない。
極北市民病院の問題があらかた片付いた終盤。突然、表舞台に登場してくるオホーツク海に浮かぶ島「神威島」。
そこで世良が運命の再会を果たすことになる・・・
でもこれを持ってこられると、そこまでの救急医療のくだりはなんだったのか・・・という気にはさせられる。
まぁ、これまで海堂ワールドの作品を読み継いできた読者にとっては、「そうきたかぁー」というある種感動のシーンにはなるわけだが・・・

ということで、この作品単独で読まれると、驚きや感動は恐らく半減すると思われる。
あくまでも、作者のファン向けの作品ということになるだろう。
(いつまでたっても狂言回しの役割から抜け出せない今中の立場は?!)

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