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ミステリの祭典

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少女禁区

作家 伴名練
出版日2010年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2017/11/18 22:05登録)
表題作と『chocolate blood,biscuit hearts.』の少し長めの短編二作から編成される小品。

『少女禁区』は呪術などが横行する異世界で、「私」が少女からあらゆる屈辱的な行為でおもちゃにされる物語。やや古めかしいテーマを扱ったジャパニーズ・ホラーですが、文章はそれなりにこなれており、独自の雰囲気は感じ取ることができました。
中盤まで先行きの見えない不安定感が逆に読者をページを捲らせます。そして巫女が出現する辺りから面白さが倍増し、ややベタですがいかにもな世界観が広がります。ミステリ的な一捻りもあり、ラストまで飽きることなく楽しめます。
最後のオチについてはありだと思いました。評者の荒俣氏は甘口すぎるとのご意見でしたが、確かにそれまでに伏線らしきものがほとんどなかったため致し方ないのかもしれません。ですが、私は悪くないと感じましたね。

『chocolate blood,biscuit hearts.』はネット広告サービスから身を起こし、世界的な大財閥にまでのし上がった、今は亡き父親の呪縛から逃れるために、姉弟が決死の想いで脱出に成功するというストーリーです。
彼らはまず大金を手に入れるため、非倫理的な、今でいうユーチューバーのような映像を提供していきます。
これはホラーと言うよりも、SF系のミステリの趣が強いと思います。こちらも捻りが効いており、その意味でも意外性が感じられる好編です。

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