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ミステリの祭典

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僕が七不思議になったわけ

作家 小川晴央
出版日2014年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2014/07/07 22:20登録)
ごく普通の高校生が出会った奇跡のような体験とほのかな恋を描いた、若年層向けのファンタジー小説。
卒業式の夜、高校三年になる俺中崎夕也は学校に携帯を忘れたことに気づく。心配性の彼は急いで学校に向かう。携帯は見つかったが、その帰りしな、校庭で母校の七不思議を司るという自称テンコと名乗る少女の姿をした精霊に出会う。彼は選ばれたのだ、新しい七不思議に。そこから、中崎の日常と非日常が交錯する日々が始まる。
終盤まではまるで中学生が書いたような、平板な文章が並び、おっさんの私としては、やや辟易としながら読み進むのであったが、終盤突如としてその恐るべきたくらみが明かされるにあたって、内心驚きの声を上げずにはいられなかった。
それはまるで本格ミステリのトリックそのものではないか。騙された、見事なまでに。だからと言って、その一点だけで高得点を与えるわけにはいかない。が、この緩急の使い分けはなかなかのものだと思う。
最終章は多くの読者に静かな感動を与えるものと想像する。単なるファンタジーではなく、ミステリの要素も含有しているし、恋愛小説、青春小説としても勿論ツボは抑えている。ただ、一般読者にはお薦めできても、本サイトの鬼たちには当然却下されるべき作品であろう。

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