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ミステリの祭典

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ベルリンの女

作家 高柳芳夫
出版日1982年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 kanamori
(2015/03/22 20:56登録)
ノンシリーズの短編集。各話ともドイツ、オーストリア、ノルウェー、スイスなど欧州諸国の街を舞台背景にしているところが共通しています。ジャンルは、不正経理や贈収賄事件などの社会派要素を加味した本格ミステリが中心ですが、幻想ホラー風のものや心理サスペンスも収録されています。

表題作の「ベルリンの女」は、取壊し寸前の古いビルの一室が現場となる密室トリックもの。トリックは既視感があるものの、一応の真相が明かされた後のツイストが効いていて、コレが個人的ベスト作品。
「ヴィーナスの山の白い館」は、素人探偵の日本人女性像や古城周辺の情景描写はいいが、アリバイトリックは陳腐と言わざるを得ないかな。「国際電話会社殺人事件」は、社会派の要素が大きい骨太の作品で読み応えがあるが、メイントリックを疑う手掛かりが後出しぎみなのが残念なところ。
本格モノ以外では、ある商社員の凄まじい怨念が印象に残る「ラインの誘惑」が心理サスペンスものの佳作。そのほかの怪奇幻想風のショートストーリー2編はいずれも微妙な出来でした。

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